AISES主催のMLA専門講座(ベーシック)「ネット講座」の研修レポートをお届けします。金山教授(AISES副理事)を講師に迎え、急増する低年齢層のネット利用や依存のデータ、生活・心理面への影響、家庭・学校でのルール作り、そしてリアルな体験を通した「繋がる力」の育成について学びを深めました。
低年齢化するネット利用とデジタル問題の現状
近年、子どもたちのインターネット利用は急速に低年齢化しており、幼少期からの日常的なデジタル接触が広がっています。ショート動画やSNSの普及に伴い、脳の報酬系に作用する依存リスクや、承認欲求に起因するトラブルが深刻化しています。
~現代のデジタル環境における主な課題~利用の早期化:乳幼児期からのスマホ接触や、低学年でのネット利用定着に伴う生活習慣への影響。
コンテンツとアルゴリズム依存:止め時を失いやすいショート動画の連続視聴や、偏った情報ばかりが届くフィルターバブルの影響。
デジタル問題行動の質の変化:安易な動画撮影・投稿やSNS上の誹謗中傷、オンラインでの不適切な出会いなどトラブルの多様化。
データから見るネット依存と「心理的安全性」の低下
大規模な調査データによると、ネット依存傾向にある子どもたちは、単に利用時間が長いだけでなく、心身の健康や人間関係における深刻なリスクを抱えていることが判明しています。
~生活習慣と心理面への具体的な影響~生活リズムの乱れ:深夜利用(午前1時以降の利用)や朝食欠食の割合が極めて高く、学校生活での不調につながっています。
安心感・信頼感の低下:ネット依存傾向のある子は、家庭や学校に対する「安心感」や友人関係の満足度が大きく低下しており、身近な大人に悩みを相談しにくい傾向が見られます。
発達特性との関連:ADHDなどの発達特性をもつ子は衝動性から依存に陥りやすく、特性と依存の両面に配慮した丁寧なアプローチが求められます。
一方的な押し付けではない「納得感のあるルールづくり」と「リアルの繋がり」
ネット問題に対処する際、大人が一方的に厳しいルールを課しても長続きせず、隠れて利用を続ける原因になります。対話を通じて子ども自身が納得できる合意形成と、リアルな人間関係の構築が重要です。
対話と合意によるルール決定:親子や学校の児童会・生徒会等で話し合い、自分たちで決めたルールは守られやすい傾向があります。
「バーチャルよりリアル」な体験の提供:野外体験や自然体験、運動、対話など、画面の外で「人とつながる喜び」や自己効力感を感じられる場作りが重要です。
学校の役割とチームでの関わり:説得ではなく「納得」を重視し、子どもの言葉に耳を傾けながら、家庭・学校・地域が連携して包括的に支える体制(MLA)が必要です。
参加者の声
「低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査」を見て、がく然としました。よくもここまでというほどの増加率です。また、その後に示される各種データにも衝撃を受けました。
コロナ前に私たちが行った調査より、事態は大きく悪化していました。講座の途中で、出席者の方がこうおっしゃいました。「AIより、学校が楽しい状況を作り出すことが、大事だ」と。
講座が進む中で,結局「バーチャルより、リアルを大切にする」気持ちを育てることに尽きるのだと考えました。
そして、今まで以上にこのことが教育の場に課せられているのだとも痛感しました。教育を核として、子供が小さなうちから、保護者・地域・社会全体を巻き込み、具体的に取り組んでいく必要性を感じた。
一方で、発達の特性上ネットにのめり込む子たちへの、適切な対応の仕方を我々教員が学ぶことも、大切だと考えました。
最終的には、本講座で話題に上がった様々な課題を解決するため、MLAを広く普及させることが急務であると強く思いました。大変深く学べた4時間でした。


LINEに追加する