学習支援領域のアドバンス講座として開催された「協同学習」の研修レポートをお届けします。
今回の講座では、単に手法をなぞるだけでなく、実際の授業動画の分析や演習を通して、協同学習の理論と実践、そして教師としての心構えを深く探求しました。
授業動画から紐解く「2つの協同学習」――拡散型と収束型
講座内では、性格の異なる2つの授業動画を見比べながら、協同学習のねらいや構造の違いについて議論が行われました。
答えのない課題に取り組む「拡散型」(美術の対話型鑑賞)作品を鑑賞して感じたことやストーリーを自由に話し合う授業スタイルです。明確な「正解」が存在しないため、ブレインストーミングのように自由に意見を出し合います。教師はファシリテーターとして生徒の思考や発言を促し、「どこからそう感じたか」を深掘りすることで、自己理解や他者理解を促す効果があります。
1つの答えに向かって探究する「収束型」(英語の文章並べ替え・ジグソー法)与えられた情報を組み合わせ、1つの正しい答えを導き出す授業スタイルです。一人ひとりに明確な役割(情報)が割り当てられるジグゾー法などを活用することで、「自分しか持っていない情報」が発生します。これにより、全員が参加せざるを得ない仕組み(相互協力関係と個人の責任)が生まれ、「ただ乗り(他人まかせ)」を防ぐことができます。
協同学習をスムーズに成立させる理論と指導の工夫
グループワークを活性化させ、生徒の深い学びに繋げるための具体的な工夫や心理学的アプローチについても学びを深めました。
指示の明確化と「チャンク化」による認知負荷の軽減人間が一度に記憶・処理できる容量は「7±2チャンク(意味のある情報のまとまり)」に限られています。「何をすればいいか」という手順の理解に頭の容量を奪われてしまうと、本来取り組むべき学習課題に集中できなくなります。そのため、指示は端的かつ具体的に出し、学習手順を簡略化・視覚化することが極めて重要です。
思考と学びを可視化する「ノートテイキングペア」ベーシックな「シンクペアシェア(各自で考え、ペアで共有する)」から一歩進んだ手法として「ノートテイキングペア」が紹介されました。自分の考えを書いた後、ペアの発表を聞きながら不足していた点や相手の視点を「青ペン」で書き足します。最後に教師の模範解答を「赤ペン」で書くことで、自分の思考・相手の思考・模範解答が色分けされ、学びの軌跡がひと目で可視化されます。
机の配置と心理的距離「グループワークで机をうまくくっつけられない」という現場の悩みに対し、机の距離はそのまま「生徒同士の心理的距離」をあわらしているという視点が示されました。無理に形だけ強制するのではなく、カードゲームのような「近づかざるを得ない必然性のある課題」を用意したり、安心感のある学級風土を整えたりすることで、自然と空間的・心理的距離が縮まっていきます。
まとめ:手法の先に「どのような生徒を育てたいか」を描く
協同学習は単なる「グループづくりの技術」ではありません。その根底には、教師自身が「どのような生徒に育ってほしいのか」という教育目標や教育哲学を持つことが不可欠です。理論を学び、技術を身につけた上で、学校全体で実践を重ねていく重要性を再確認する講座となりました。
受講者の声
協同学習は深い学びを支える教育手法だと良く出来る内容でした。そこで多くの方からは協同学習という手法を本講座で理解して欲しいと思います。しかし、今回、参加者の皆さん同士で対話して感じたのは、「そもそも、私たちは、生徒からどの様に育って欲しいのか?」という教育目標を大切にしてそれと結びつけて考える視点でした。「そのような生徒に育って欲しいので協同学習を取り入れるぞ!」「その時の課題には○○があるね!」「それが今後、問題となって現れないように、この様に取りくんでいくことも大切だね!」「そして、生徒をしっかりとアセスメントしながら、生徒の成長を長い目で見て確実に育てていこうよ!」という教師としてのマインドセットというか、心構えはとても大切なんだと気づかされる講座でした。やはり、教育哲学を持ちながら、教育理論を勉強して、教育技術を身につけて、学校職員みんなで実践して、学校風土にしたいなーと、改めて考えることがでできました。



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