「とりあえずグループ」で終わらせない!協同学習の理論と実践の基礎~(8/2開催報告)協同学習①

8月2日に開催されたMLA専門講座ベーシック「協同学習①」の内容をダイジェストでお届けします。

個人学習とグループ学習は「対立」しない

授業づくりにおいて、個人での思考とグループでの学びは対立するものではありません。課題や場面に応じて、これらを「行ったり来たり」させることが重要です。最終的な学習評価は個人のパフォーマンスに帰結しますが、協同的な場面でこそ獲得される資質や能力があり、それを意図的に授業へ組み込むことが求められます。

協同学習を支える「安心感」と「5つの要件」

協同学習をスタートさせる最大のきっかけは、「わかってもらえた」「失敗しても大丈夫」と思える受容的な人間関係にあります。この安心感をベースに、以下の5つの要件(または3つのパッケージ)を整えることが大切です。

  • 相互協力関係(ウィンウィン):協力しないと解決できない課題設定。
  • 個人の責任:「ただ乗り」させず、一人ひとりが役割を果たす仕組み。
  • 対人機能の症例:SEL(社会的情動学習)やPBIS(ポジティブな行動支援)の視点を取り入れたスキル訓練。
  • 対面的な促進:顔を突き合わせて活動できる環境づくり。
  • 振り返り:グループの活動自体をメタ認知し、改善するプロセス。
  • 授業に生かす「3つの交流」と「具体的な手法」

    協同学習には「思考の交流」「役割の交流」「感情の交流」という3つの側面があります。役割(司会、記録、時計、発表など)を固定せずに回すことで、社会性を育むことができます。
    また、講座内では具体的な技法も紹介されました。

  • シンクペアシェア:一人で考え、ペアで共有し、全体へ広げる。落ち着いて思考を深めるのに有効です。
  • トーキングチップ:発言回数をチケットで管理し、話しすぎる子の抑制や、控えめな子の発言を促します。
  • ジグゾー法:各自が専門家として学んだことを持ち寄り、一つの課題を完成させる責任感の強い手法です。
  • 学習動機付けと「コの字型」の発達

    「なぜ学ぶのか」という動機付けも重要なテーマでした。報酬がなくても自ら学ぶ「内発的動機付け」は、報酬がないのではなく、自分の中に報酬(楽しみや成長の機会)を作っている状態を指します 。
    学習動機は「関係志向(友達と一緒だから)」から始まり、徐々に「報酬志向」「実用志向」を経て、最終的に学習そのものを楽しむ「充実志向」へと、コの字型に発達していくという視点が示されました 。

    まとめ:まずは「5分」から、習慣化を

    協同学習は、学力が向上する前にまず「学習に対する態度」が変化します。まずは毎授業で5分程度の簡単な共同場面を作ることから始め、それを習慣化させることが成功への近道です。

    講座参加者の声

    今回のベーシック講座では、個人学習と協同学習がそれぞれ異なる資質・能力を伸ばすものであり、どちらも大切にしていく必要があることを改めて感じました。特に印象に残ったのは、協同学習が「気持ちをわかってもらえた」「困ったときに支えてもらえた」「失敗しても大丈夫」と思える安心感の中で学びを深めていく手法だということです。
    講座では、交流を促す課題づくりや、一人ひとりの力を引き出す工夫、自分の成長を振り返る方法についても、とてもわかりやすく整理されていました。さらに、SELやPBIS、ピアサポートの視点が日々の学習場面にどうつながるのかも腑に落ちました。次回のアドバンス編では、授業で使える具体的な手法を実際に体験できるようで、今からとても楽しみです。


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