2026年7月26日、MLA専門講座「重大事案」が開催されました。本講座では、不登校といじめの急増といった教育現場の喫緊の課題に対し、具体的なデータに基づく現状分析と、マルチレベルアプローチ(MLA)や教育DXを用いた対応策について議論が行われました。
現在の子どもたちを取り巻く深刻な現状
冒頭で、日本の教育における危機的な数値データが共有されました。不登校の児童生徒数が約30万人に達し、いじめの認知件数も過去最多を更新し続けています。同時に、子どもの自殺率も極めて憂慮すべき水準にあります。参加者と講師の間で、疲弊する学校現場の実態について率直な意見が交わされました。
「いじめ」の定義と学校現場のジレンマ
話題は、いじめ防止対策推進法における「いじめ」の定義(心身の苦痛を感じていること)と、実際の現場対応の難しさへと展開しました。法的な定義が広範であるがゆえに、保護者や教員の感覚との間にギャップが生じやすく、どこまでを「いじめの重大事態」として扱うべきかという実務上の深い葛藤が浮き彫りになりました。
こうした課題解決への糸口として、マルチレベルアプローチ(MLA)の実装と教育DXの取り組みが紹介されました。特に「AI相談室」などを活用し、日常のSOSを早期に発見・収集する仕組み(舞鶴市などの事例)に注目が集まりました。デジタル技術で客観的な事実(記録)を蓄積し、チームとして対応することが、教員の負担軽減と確実な生徒支援の両立につながることが示唆されました。
さらに、境界知能や衝動性を抱える子どもたちの支援についても深く議論されました。自己認識が困難な子どもたちが、SNSでのトラブルや近年急増している「闇バイト」などに巻き込まれやすい実態があります。これらを未然に防ぐ本質的なアプローチとして、学校内にプロジェクトベースドラーニング(PBL)や共同学習を取り入れ、子ども同士が助け合う 「ピアサポート」の環境 (リアルなつながりや居場所)を構築する重要性が確認されました。
SNS・スマホ問題に対する社会全体の責任
議論の後半は、深刻化するネット依存へと及びました。長時間のネット利用が学力低下を招くことや、フィルタリングが簡単に解除されてしまう現状が危惧されています。学校や各家庭のルール指導だけでは限界に達しており、「スマホの免許制」のような制度の導入や、メーカー・事業者を巻き込んだ国レベルでの強力な規制(イニシアチブ)が不可欠であるという強い課題意識が共有されました。
受講者の感想
今回の講座冒頭で、いじめ・不登校・自殺者数の増加を示すグラフを確認し、社会の先行きに強い不安を覚えると共に「だからこそ学び続け、目の前の子どもたちを救う教育をつくる」という強い使命感を抱きました。
対話的なスタイルで進んだ本講座では、現場でのモヤモヤとした疑問が整理されました。特に「いじめの定義」に関する議論では多様な意見が交わされ、”学びあう集団”としての素晴らしさを実感しました。また、包括的学校支援モデル(MLA)をいかに心理的抵抗感なく現場に浸透させるかという金山先生の提起も非常にチャレンジングで興味深かったです。
学校現場の「重大事案」は日本社会が抱える課題の縮図であり、解決には仲間を作り学び続けることが大切だと痛感しました。教育者だけでなく政治や経済界など多方面の方に考えてほしい内容です。あの痛ましいグラフの増加を少しでも食い止めるため、私も教育者として一歩一歩着実に取り組んでいきたいと思います。



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