【第4回】総社市「だれもが行きたくなる学校づくり研修会」に参加して【マルチレベルアプローチ(MLA)実践8年間の記録】

みなさん、こんにちは。
『マルチレベルアプローチ(MLA)実践 8年間の記録』と題してお送りする連載ブログの4回目です。

山崎先生(現広島大学教職大学院講師)によるマルチレベルアプローチ(MLA)の研修会。
試行錯誤で取り組み始めた協同学習。

少しずつその意図するところを理解し始めた頃、岡山県総社市で行われている「だれもが行きたくなる学校づくり研修会」への参加の機会を得ました。

総社市 だれもが行きたくなる学校づくり入門

年間約15回、時間にして30時間以上のMLAを軸にした研修が行われ、もうかれこれ10年になる岡山県総社市。
はじめは、市内4校の中学校区それぞれで、MLAの柱である「ピア・サポート」「協同学習」「SEL」「PBIS」が取り入れられ、3年かけて全ての学校にMLAの基本的枠組みが整備されたそうです。

まさにMLAの聖地ですね。

そんな総社市への訪問は、それはもう驚きと感動の連続でした!そして、MLAを取り入れた学校教育を“やるかやらないか”ではなく、“しないわけにはいかない”という気持ち(かなりの劣等感をもって…)になりました。

ディーゼルの列車??

岡山駅まで新幹線に乗り、そこから次に乗る電車を見たら、“あれ?電車の上に電線がない??”。

(もはや電車やないやん!)

大阪ではほとんど見ることのないこの列車は、愛称『桃太郎線』というらしく、感動して、総社に着いて最初に撮った写真がこれでした。

公開授業研修 −授業も研究協議もめっちゃ協同してるやん!−

このときの授業はたしか、SEL(Social & Emotional Learning:社会性と情動の学習)の授業だったような気がします。
とにかく8年も前のことなのでうろ覚えですみません(なんせ昨日の晩ごはんも覚えていない私です…)。

ただ、はっきり覚えているのは、子ども達がめちゃくちゃ自然に自分の意見を発表し、学級全体がとてもイキイキと学びあっていたことです。
私がチャレンジし始めた協同学習(もどき)では、子ども達は話し合ってはいるものの、雑談は多いし発言しない子どもはいるし、何よりも課題に向かって学ぼうとする姿勢が全然違っていました。

子ども達をこんなふうに楽しんで学びに向かえるようにしたい!!

15年間も教師をしてきて、いろいろできるようになったと思っていた私にとって、この総社の子ども達の姿は、“自分は何をやってきたんだ”と恥ずかしい気持ちになるほど、衝撃的でうらやましいと思えるものでした。

このとき、私の中で完全にスイッチが入ったと思います。やっぱり教師は、子どもののぞましい姿を見ることが最大のモチベーションなのでしょう。

子どものみならず、教師までも…

当時、大阪で行われていた公開授業後の研究協議といえば、授業者が授業をふりかえり、大学の先生かなんかが授業へのコメントを話し、“良い授業とは…”みたいな講義を延々と聞かせるといったものでした。そんな研究協議の感想は、だいたいが“ねむかった…”でした。

それが、総社市のだれ行き研修では全然違っていました!

まず、授業を見た先生達が4人組のグループを作り、各自がポストイットに授業へのコメントを書きます。

そのコメントも、見る観点が決まっていて、それに基づいたコメントをなんともスムーズにさらっと、しかも中身のあるものを書いていくのです。

 

次に、そのポストイットを大きな模造紙に貼りながら、同じような内容のものを分類し、色ペンを使ってカラフルできれいなものにまとめていきます。

最後は、完成した模造紙を使って、他のグループに対してポスターセッションを行うのです。

こんな研究協議のやり方は当然初めてだったので、驚きと戸惑いでほとんどついていけず、これまでやってきたことは何だったのかと劣等感を味わい、そして、“負けてられない!”という気持ちがふつふつと湧いてきたのでした。

毎年通い続けた総社…豪雨災害、そしてコロナ

8年前の総社訪問を終え、自らの教育を見直し改善することを決意し、そのために学び続ける覚悟を決めました。
その後は、毎年1回は総社市を訪れ研修に参加しました。
本当に多くのことを学ばせていただき、多くの先生方にお世話になりました。

そんな総社市を、西日本豪雨が襲いました…。

この時、長年MLAの中でピア・サポートに取り組んできた総社市の高校生達が、市役所前に約1000人もつめかけ、自分たちにも何かできることはないかと申し出たそうです。

【ブログ】 ちょっと感動!総社の高校生たち

 

これは、“自分もこれまでの恩返しをせねば!”と、ボランティアに参加し、住宅の2階まで浸水した家の片付けを手伝いました。
しかし、これらの家の1階はもはや人が住める状態にはありませんでした。
それでも長年家族と暮らしたその家で、最後まで住み続ける覚悟を語ってくれたお年寄りの方の言葉に、涙が出ました。

昨年、一昨年は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、総社には行けていません。早く、総社のみなさんと再会し、また共に学び合いたいです。

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