【ブログ】 コロナ対策をストレスモデルから考える-2-その1

コロナ対策をストレスモデルから考える -2- その1

 

先生方,保護者の皆さん,こんにちは。

緊急事態宣言が継続となりましたが,自治体によって取組に差がるようで,学校もどうなるのかはっきりせず,イライラされている方も多いのではないかと思います。

大学でも対応が迫られていて,リモートによる授業への移行が始まっています。

私自身も,先日,Zoomというアプリを使ったリモート授業をはじめました。

はじめはどうなるかと思いましたが,学生一人一人の顔もパソコン上に表示され,質問のやりとりもできますし,グループ分けをしてグループ討議もできるので,結構,楽しく授業ができました。

そんな風に,コロナ問題が深刻化する中で,私たちは,「今までと同じ」とまでは言わないまでも,「同じような効果のある別の対応(コーピング)」をとることを求められています。

今回は,このコーピングに焦点を当てて解説します。

 

コーピング

 

前回は,特に「認知的評価」の部分に焦点を当てて,どうしたら不安やストレス反応を低くできるか,4つのポイントで解説をしました。

しかし,現実には,コロナウイルスがなくなるわけではありません。

今回の問題で,本当に厳しい状況に置かれている方もいらっしゃいます。

ですから,ストレス反応がなくなるはずもありません。

 

そこで大事になるのが,コーピング(対処)です。

ストレスがかかるのは当たり前なので,何とか対処して切り抜けるということです。

 

コーピングには,「問題焦点型」「情動焦点型」の2つのタイプがあります。

 

「ストレスは特にないよ」「自分は大丈夫」と思っていても,実はそんなことはありません。

たとえば好きなスポーツをしたあとは,好き嫌いに関係なく,体は疲れています。

今回の事態も同じです。

これまでの日常と違うことが起こっているわけですから,私たちの心と体は,その新たな状況に対応するために,実は,いろいろと活動をしてくれています。

 

自分の心と体さんに,感謝しましょう❤

 

こうした状態にあると,気がつかないうちに負荷がかかっています。

そのため,こころにも余裕がなくなり,何となくイライラしたり,些細なことで子どもを叱ってしまったり,そんなことも生じてしまいます。

 

というわけで,ストレスコーピングはとても大事なことなのです。

 

2つのタイプのコーピング

 

1)ストレッサー自体と向かい合う「問題焦点型コーピング」

問題焦点型コーピングとは,ストレッサーである問題そのものに自分で取り組んだり,誰かにサポートやアドバイスを求めたり,乗り切る力をつけたりすることで,問題を克服するという方法です。

 

たとえば,受験というストレッサーがあっても,勉強して力をつけたり,先生に助けてもらったりして乗り越えるというやり方です。この方法は,まさに正攻法です。

前回,解説した不安の解消方法は,この「問題焦点型コーピング」に属するものが多かったですね。

 

緊急事態宣言で,仮に本当に日本人全員がソーシャルディスタンスを完璧に保つことができれば,1ヶ月後には,日本人全員がほぼ治癒することになりますから,問題解決が達成できることになります。

実際にはそれほど簡単にはいくはずもありませんが,それに近い状態にもっていければ成功と言うことでしょう。

ワクチンが開発され,治療薬が見つかれば,社会全体として「問題焦点型コーピング」に成功したということになります。

 

ただ,ここで,大きな問題があります。

「世の中で起こる問題は,正攻法で解決できる問題だけではない」

ということです。

今回のコロナウイルスの問題などは,まさにそうした問題で,個人としてコロナウイルスに問題焦点型で対応するなど,不可能です。

「問題解決」に過剰に期待すると,不満が募ったり,期待が失望に変わったり,期待に応えてくれないイライラから相手を攻撃したり,ということになります。

 

そこで大事になってくるのが,「情動焦点型コーピング」です。

 

2)何とかしのぐ「情動焦点型コーピング」

コロナ問題は,浪人生の大学受験に似ています。

現役で受験するも不合格,あと1年は,問題解決はない。

おまけに1年後も望む解決が得られるかどうかはわからない。

友人達との接点は希薄になり,孤独な生活。

でも,とにかく1年間,よい成果が出ることを信じて頑張るしかない・・・・

こういう状態で,「問題解決」に焦点を当てすぎると,つらすぎますよね。

鬱になりそうです。

 

情動焦点型コーピングとは,その「しんどい気持ち」(情動)に焦点を当て,「しんどい気持ち」自体を解消しようとする方法です。

 

問題がなくならなくても,しんどくなければOK 

ということです。

 

このように書くと,まじめな方からは,“そんなことでいいのか!”と怒られそうですが,実は,みんな,結構やっていることです。

実際,どんな方法なんでしょうか。

 

① 認知的再評価型コーピング

コロナ問題に対して,見方や発想を変える方法です。

不謹慎と言われてしまうかもしれませんが,「日頃,あんまり家にいないから,徹底的に片付けをするチャンス!」とか,「この際,あの連載本を読破してやろう」とか,「うちの子どもと遊ぶチャンス!10年分,遊んでやる!」とか。

私の知り合いは,新しい趣味を見つけて,「この1年で達人になる」と言っていました。

私はICTにそれほど強くないのですが,「これを機に少し使えるようになろう」と思っています。

あと,他にも考えていることはありますが,ちょっとそれは秘密です。

 

心理学では,「見方を変える」ことをリフレーミングと言います。

 

「ネガティブなことのなかにあるポジティブな部分に目を向ける」

ということですね。

 

もうひとつは,「期待しすぎない」ということです。

 

たとえば相手(政府,パートナー,子どもなどなど)に過剰な期待をしていると,

①期待が実行されないとイライラがつのる,

②相手が動いてくれるのを待つので,自分の行動が遅くなる,

③期待通りに動いてくれないと怒りが爆発,

ということになるかもしれません。

なので,「相手は相手で,頑張っているんだろう。でも,私の期待通りの結果になる可能性はきっと低いから,あんまり期待せず,自分で考えて対策を考えておこう」ぐらいの心構えでいると,準備は一応進んでいますし,相手が何かをやってくれたらラッキーということになります。

 

過剰な期待は「べき」という思考になります。

 

「学校が休みなら,子どもは家で勉強するべき」とかです。

その期待に応えてくれないと怒ったりします。

確かに,怒ったら言うことを聴くかもしれませんが,親の顔色を見て行動する主体性のない子どもに育つかもしれませんよ。

 

私が小学校1年生の頃,私は漫画ばっかり読んでいたそうです。

それで,私の母親は,家庭訪問の際,小学校の先生に,「漫画ばっかり」と愚痴をこぼしたところ,先生は,「小1でどんどん読めるってすごいじゃないですか。

漫画でも読むのは立派ですよ。

集中力も想像力もつきますし,活字にも慣れますよ。

そして時々,挿絵付きの本も渡したりすると本も読むようになるかもしれませんよ」と言ったそうです。

おかげで我が家には,少年マガジン,サンデー,ジャンプがあふれていました。

ただ,それと同時に,毎月,挿絵入りの少年少女文学全集みたいなものが,なぜか届くようになりました。

漫画を読み終わると,そっちの方も読むようになったわけです。

 

これは「リフレーミング」と「過剰な期待のキャンセル」の合わせ技です。

私の母親に座布団2枚。

漫画を読ませてくれた細井先生に座布団3枚。

 

②情動処理型コーピング

文字通り,自分のネガティブな感情を処理するコーピングです。

愚痴を言ったり文句を言ったりして,それを誰かに聞いてもらうことで,気持ちの整理がついてすっきりするということがありますよね。

私は女子ではないので実態はよくわかりませんが,「ガールズトーク」とか「女子会」「井戸端会議」は,これをやっているんでしょうか?

 

ただ,気をつけなくてはいけないことがあります。

それは,

「感情表出は男女ともに怒り–敵意を高め,男性では疲労を高める」内田,2018)

という研究もあるからです。

「まったく政府はけしからん!」という怒りの表出は,カタルシスになるのかもしれませんが,周囲も単純に,「そうだそうだ。やってられん!」という反応になると,一方で,怒りは増幅し,むしろ疲労感を高めるということです。

 

確かに,今の社会状況をみていると,いろいろな人が怒りを表出し,それがなんの処理もされないまま,TVやSNSやWeb上でやりとりされるために,わたしもみていて,疲れて嫌な気分になることがあります。

つまり,ネガティブな感情を表出しても,その瞬間はすっきりするかもしれないけれども,きちんと処理されなければ,そのイヤな感情が増幅されたり,反すうされたりするだけで,かえってマイナスということです。

 

このことは,「感情表出は感情処理とイコールではない」ということを意味しています。

重要なのは感情の処理です。

感情の処理には,表出された感情を整理したり,理由を考えたりすることが必要ということです。

ですので,子どもがネガティブな感情を表出したときは,実はビッグチャンス到来で,

「もうちょっと詳しく教えて(整理を促しているわけです)」「どうしてそんな風に感じるのかな?」

という問いかけをすることで,自己理解が進み,感情の処理ができるようになります。

 

たとえば子どもが家から出られないでかんしゃくを起こしたときに,「イライラしたからって,モノに当たるんじゃありません!」とお母さんがかんしゃくを起こす (>_<) のではなく,何が起こったの?」「どうしてそんなふうに感じたわけ?」と穏やかに話すわけです。

 

その上で,「確かに家の中ばかりじゃ,そう感じるよね」と共感し,「でも,モノに当たるのはあんまりよくないよね。どうしたらいいかな?」と語りかけ,一緒に考えます。

こうしたやりとりで,実際の感情処理が進むとともに,感情に振り回されない子どもに育てるという,一石二鳥の効果があります。

まあ,大人も同じで,あんまり偉そうなことは言えませんが (^^;

 

③気晴らし型コーピング

スポーツした後,心も何となく元気になったり,友だちとの会話が弾んだりしませんか?

逆に,体調が悪いときは,心も元気がなくなり,人と話す気持ちもなくなりませんか?これは,「心と体は繋がっている」ことを示唆しています。

 

ですので,好きなことをやって気晴らしをするというやり方は有効です。

運動をしたり、カラオケに行ったり,温泉にいったり,たまにはおいしいものを食べたり,ということです。

家に閉じこもっているうちに,なんとなく心も元気がなくなってきたな,と感じたら,「体から攻める」のが有効です。

体がリラックスすると心もリラックスするからです。

 

(その2に続きます)

 

 

 

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