【ブログ】教育新聞連載 第11回 「MLAによる包括的生徒指導」 執筆:金山健一

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MLAによる包括的生徒指導

執筆:金山健一(神戸親和女子大学教授)

 

もう、事後指導ばかりの生徒指導ではなく、予防的な生徒指導を目指しませんか。

いじめ・SNS・命の教育・コミュニケーション向上の対応が急務とされているが、これらの予防的な取組が教育課程・年間計画に位置づけられていますか。

MLAでは1~3次的生徒指導を行う。

1次的生徒指導は「自分でできる力を育てる」、2次的生徒指導は「友達同士で支え合う力を育てる」、3次的生徒指導は「教師や専門家が中心となって子どもを支える」ことが目的である。

 

 

本稿ではMLAの生徒指導の視点から、チーム支援とピアサポートについて述べる。

 

① チーム支援を機能させ、1人で問題を抱えない。

著者は中学校教員の経験があるが、生徒指導ではチーム支援が重要である。

チームには、学年会・生徒指導部会・不登校委員会・いじめ対応委員会などがあるが、機能していない学校も多い。

チームが機能するためには,システム(組織),コーディネーター(担当者),サイクル(PV-PDCA)の3つが必要性である(今西,2015)。

組織があり担当者がいるのにチームが機能しないのは,サイクルが機能していないためである。

サイクルでは、「だれが、いつ、どこで、何をするか」を決め、次回にその取り組みを検証し、対応プランを再構築していくサイクルである。

 

② ピアサポートを活用し、子ども同士をつなげ問題行動を予防する。

今日、子どもたちは、SNS・ネットではつながるが、リアルな世界でのつながりが希薄である。

つながりがあれば、いじめも自殺まで追い込むことはなく、不登校も再登校も可能である。

ピアサポートプログラムは、人間関係づくり、コミュニケーション向上など多岐に開発されている。

MLAでのピアサポートは、異学年交流や、幼・小・中学校間の交流も包含している。

サポートされる側は交流欲求が満たされ、「上級生はかっこいいな。あんな人になりたいな」とモデル像を獲得できる。

サポートする側は影響力欲求が満たされ、「俺も役に立っている」と自己有用感が高まり承認欲求も獲得できる。

 

思春期の子どもたちは、自己とは何かを求めるために、行動化(acting out)を起こすといっても過言ではない。

問題行動を発達課題として捉え直すことも必要である。

ピアサポートにより、心を育て人格的に成長させ、チームで対応するのである。

世界の生徒指導は、包括的生徒指導が主流であり、「すべての子どもの全人的な成長」の促進を目指している。

MLAは、日本版の包括的生徒指導の進むべき方向性を示す地図なのである。

 


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