シンガポール視察報告②(2)の続き

特別支援学校のキャリア支援

シンガポールには、20の特別支援学校があるそうです。面積は東京23区よりやや狭い程度ですから、それで比較すると、人口はシンガポールが561万人、都区内が944万人。都内全体の特別支援学校は、国公立私立合わせて71校(都区内45校)です。学校制度が異なるので、小中学校年齢の在学者数で比較はできないものの、学校数はやや少なめと思えます。

が大きく異なるのでは、特別支援学校20校の位置づけです。私たちが視察したのは、知的障害、それもIQ50-70(軽度知的障害)の範囲のお子さんのための学校でした。日本では知的障害特別支援学校には、重度のお子さんも自閉症のお子さんも在学しています。がシンガポールでは、自閉症のお子さんは自閉症の特別支援学校に行くそうです。つまり、障害の種類と程度で、入学する特別支援学校が決まるようです。

日本も数十年間、障害の程度はともかく、種別で処遇を分ける考え方でと盲・聾・養護学校(知的・肢体不自由・病弱)の特殊教育諸学校を整備してきました。が、特別支援教育に転換してから、種別や程度で分けるより、総合化していく方向になっています。それは、できるだけ地域の学校にという、国際的な動向を受けての改革です。

 

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さて、およそ300人の在学者に対し、スタッフは115人。ここには職業トレーナー、サイコロジスト、ソーシャルワーカー、作業療法士、言語療法士などの専門職100数人が含まれます。日本では、教育職以外の専門職を常勤化しにくい現実があります。文科省は外部専門家の活用は10都道府県でモデル事業を行い(2008)、教育委員会雇用で、学校を巡回するシステムをとっている地域は増えました。

東京都は、学校独自で専門職を時間契約できる予算措置をしていますが、これらはあくまで外部専門家です。私の知っている範囲で内部常勤者としての専門職活用は、神奈川県が自立活動担当として臨床心理士や言語療法士を雇用するようになったくらいでしょうか。子どもと職員の数の比較は、都立特別支援学校で見ると約9000人の子どもに対し、3600人の教職員、視察した学校に近いある特別支援学校の職業技術科では296人の生徒に対し75人の教員配置です。

軽度知的障害に限られた学校としては、職種だけでなく量的にも豊かなスタッフ数といえます。

これらの背景から、まず、ここに学ぶほとんどの子どもが私たち見学者に挨拶をかわし、着席での学習も、求められる作業への取り組みも可能な状態でした。自閉症のお子さんはいないので、クールダウンのお部屋も必要ないとのことでした。このような学校で、着目すべきは移行支援の充実です。まず就学前からアセスメントを開始します。興味関心だけではなく、能力に見合った職業学習につなげるためです。

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