【最終】シンガポール視察報告②(4)執筆 高橋あつ子

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シンガポール視察報告②(3)の続き

企業との連携

次に企業との連携があげられます。校内にはユニクロやホテル経営の企業の協力のもと、店舗そのもので実習しているかのような環境です。教諭とは異なるその業種のインストラクターが職業体験の指導をします。ユニクロでは、商品棚には見慣れた衣類が重ねられ、フィッティングルームまで再現されていました。ちなみにユニクロは、日本では熊谷特別支援学校との連携をしていますが、子どもに独自のTシャツを作るイベント等のようです。この学校で使っていたユニクロの職業教育のテキストを日本で使う連携事例は生まれないものなのかと思ってしまいました。

あUntitledホテルは、カウンター、ベッドルーム、バスルームなど、案内やベッドメーキング、掃除などを体験できるようになっています。

これらは、国家予算が豊かだからできるのでしょうか。それも否定できないものの、学校予算の33%がスポンサーからの出資であることも関係していそうです。日本では、白洋舎がクリニーング業に、ヤマト運輸が雇用先としてのパンの製造販売に乗り出していますが、いずれも職場体験実習や単発の出前授業、雇用促進にかかわる範囲で、企業のノウハウを学校カリキュラムに位置づけた乗り入れの中

生徒たちは、仕事に誇りをもって、植木の世話をし、調理をしていました。

業務内容が多角化する今日、作業内容の習得では、障害のある方々の就労維持は叶いません。仕事をするのが楽しいと思えること、人に喜んでもらうのが励みになること、新たなことを学んで喜んでもらいたいと思えることが大事なはずです。

それを支える専門職として、注目すべきは、移行支援コーディネーターがいることです。先ほどの就学前からのアセスメントは、心理士やケースワーカー、作業療法士、言語療法士等の専門職が関与しますが、移行支援コーディネーターは、日本ではあまり聞きません。似た立場として、かつての養護学校の進路(就労)担当者があげられますが、彼らは就労先の開拓と卒業生の就労先を巡回して就労維持に寄与してきました。が、シンガポールの移行支援コーディネーターは、入学前から動くことが特徴です。在学者でIEP(個別の指導計画)を持つ子が15%というのが意外でしたが、移行支援においてはITP(individual transit plan)を作るそうです。日本では個別の教育支援計画で代替えもできると考えますが、IEPより作成率は低いのです。

障害のある人を受けいれた企業のスタッフも研修に来るそうです。これは、日本でもやるといいと思いますが、介護体験実習でさえ、特別支援学校の負担になっているので、難しいかもしれません。移行支援コーディネーターは、就労先を巡回もするようです。専門職であれば、職場で支援するジョブコーチの研修としての機能も果たせそうです。

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