学習者が自分で学習をマネジメントできる学校/実行機能との関連

Assets High school

  

執筆:早稲田大学大学院 梅津 遼太

 

 

 実行機能とは、日々の生活の中にあるタスクを効率的に消化するときなどに役立つ、日常的でかつ複合的な機能のことを指します。

ここでは学業達成の場面に議論を限定しますが、生活のいたるところで私たちはこの実行機能の力を借りているといえるでしょう。

例えば、その日中にやらなければならないことをリストアップして、重要さ・緊急の度合いに応じて優先順位をつけ、一つずつタスクを消化する、などの認知的プロセスは、実行機能よって下支えされています。

このように、認知的な過程を助けてくれる実行機能は、人間の脳に備わっていて、20代後半くらいまで発達し続けるという広範な合意があります。

したがって、学習者の中には計画を立てることが得意な者もいるし、毎日テンポよくこなしたいと思ってもうまくいかない者もいます。

かといって、実行機能の発達を待つことが最適な手なのかというとそうではありません。

教師の意図的な指導や、学業達成のための目標の立て方―方略を学ぶことで、学習者は自らの実行機能をうまく使えるようになっていきます。

社会に出て、自らの仕事をマネジメントすることはごく一般的であるし、誰にとっても必要なスキルの一つであると言えるでしょう。

 

 Assets high school では、学習者が自身の時間割や、学業の進捗を自ら管理することを求められます。

Differentiated Instructionという考えのもと、生徒一人ひとりにあった教育を受けられることが、本校の強みであり、学習者の積極的な学びを支えていました。

学習者に身につけて欲しいものとして計画を履行する力がある一方、同時に、その計画を見直すことや、自身の振り返りを次の目標設定にどう活かすかなど、自身の学びを俯瞰的にマネジメントする力もあるでしょう。

本校ではそれらの力を下支えする「実行機能 “Executive Function”」自体を明示的に教えているというのですから、意図して学習機会が設計されていることがよく分かります。

 

 生徒は、一週間の計画を俯瞰できるスケジュール帳を各々が持っています。

計画が適切なものであるか、あるいは進捗の捉え方が適切であるか、などについて教師に助言を求めることで、自身の実行機能をメタ的に捉える機会を持つのです。

自分の管理だけではまだ難しい場合には、教師にサインを求めることで、セルフモニタリングの機能を補ったり、それに応じて修正を加えたりもします。

先述の通り、実行機能の発達は個人間でもデコボコがあり、同時に個人内でもデコボコがあります。

ある個人にとって簡単なことも、他者にとっては難しいことがある実行機能だからこそ、教師のコンサルテーションという指導形式は適切でしょう。

学習者にとって計画は、履行する時も複雑な課題が立ちはだかるものです。

必ずしも予定通りに動機は持続しないし、日々変わる体調の如何も大きく影響します。

「私にあった目標や計画の立て方はどのようなものだろう」「これなら持続できるかもしれない」という、マネジメントの機会を学習者自身がもつことの重要性を、私は確認できました。