「代表理事が協同学習について講演をしました」 ~広島子どもの心支援ネットワーク研修会報告~

  • 期日:2021年9月11日(土)13:30〜17:30
  • 場所:オンライン(Zoom)
  • テーマ:今こそ「協同学習」をやってみよう!
  • 内容:
時間 内容
13:30 開催
13:40〜13:50 講演「協同学習で学力を上げる」
栗原慎二先生:広島大学大学院人間社会科学研究科教授
15:00〜16:00 ①ワークショップ(小学校向け)「2学期からはじめる!協同学習×ICT」
真田穣人先生:大阪市立小学校教員
②ワークショップ(中・高校向け)「協同的な学びを生み出す“仕かけ”を体験しよう!
米田 成先生:広島大学大学院M1・元大阪市中学校教員
16:20〜17:30 実践交流ワーク「協同学習につなげる明日からのひと工夫」

 講演:「協同学習で学力を上げる」栗原慎二先生

“主体的・対話的で深い学び”の必要性が求められており,そのための学習方略として「協同学習」があります。
しかし,「メタ認知的方略」や「自律的調整方略」などの他の学習方略と,その学習効果について比較した研究では,「メタ認知的方略」において“深い処理方略”や“持続性”に,「自律的調整方略」において“反復作業方略”,“深い処理法略”,“まとめ作業方略”に,それぞれ効果が実証されているのに対して,「協同学習方略」では,これらのどの学習方略に対しても大きな効果が期待できないという結果が出ています。

つまり,「協同学習」では学力を上げることができないということになります。
ペアやグループでの活動を活用して学ぶ「協同学習」では,“社会的手抜き”が生じやすいというのがその原因と考えられます。
一方,「協同学習」には,思考の交流・役割の交流・感情の交流の3つの要素があり,これらの交流を通じて,子ども達はつながりを深め,主体的・対話的で深い学びを実現します。
目の前の様々な課題を仲間と協働して解決していく,これからの社会で求められる力を育成することができるのが「協同学習」と言えます。
すなわち,「協同学習」では,ただグループを作って話し合わせればすぐにその効果が得られるということはなく“社会的手抜き”を抑制しメタ認知的な要素や自律的調整を促す指導を取り入れることで学力の向上を目指し,子ども達の間で,思考・役割・感情の交流が行われるようなグループ活動が行うことで,グループを課題解決志向集団に育てること目指します。そうすることで,「協同学習」の本来の目的を果たすことができるのです。

ワークショップ「2学期からはじめる!協同学習×ICT」真田穣人先生

一人に一台のノートPCやタブレットが与えられる状況になり,子ども達の学び方も変化してきました。
協同学習において,対面によるグループでの話し合いがしにくい状況になっていますが,PCやタブレットなどのICTを活用することで,文字入力による意見の表明ができ,逆に1人ひとりが自分の考えを表出しやすくなったとも言えます。
ワークショップでは,ICTを活用したツールを利用し,これからの協同学習における工夫を話し合い,学びを深めることができました。

ワークショップ「協同的な学びを生み出す“仕かけ”を体験しよう!」米田成先生

実際に中学2年生を対象に行った協同学習による数学の授業(五角形の内角の和を求める)を体験することを通じて,授業で協同を生み出すための様々な仕かけを学びました。
協同学習には,その成立のための5つの基本的構成要素があります。これらを満たす協同学習の授業づくりに必要な具体的な仕かけについて学ぶことができました。

実践交流ワーク「協同学習につなげる明日からのひと工夫」

実践交流ワークでは,協同学習のメリットを活かしながら子ども達の学力向上も目指したより効果的な協同学習を実践するための具体的なアイデアをたくさん話し合いました。

・目標を持たせることが大切なので,目標を書かせて可視化し,学級で共有する。
・ふりかえりで「メタ認知」「自己調整」を意識させる
・ルーブリックを作らせ,学習の進み具合をサポートする
・ふりかえりに対してポジティブなリフレクション
・グループを達成度や個人特性に応じて編成する

協同学習を効果的なものにし,子ども達の学力を向上させるためのポイントは,「目標(ゴール)」にあります。
それも,誰かに決められた目標ではなく,子ども達自身が自分のゴールを持つことが重要です。

近年,注目を集める学習方略にUDL(=Universal Design for Learning)があります。日本においては個別最適化された学びが必要とされています。
子ども達1人ひとりが,最も学びやすい方法を選択し,個別の目標(ゴール)に向かって主体的に学んでいきます。
教師は,そんな子ども達の学びの進み具合を評価し,さらに前進させるためのサポートをします。
仲間との協同もその選択肢のひとつになります。

これからの日本の教育において,主体的・対話的で深い学びを実現するための「協同学習」と個別最適化された学びを実現する「UDL」や「自己調整学習」をいかにミックスさせていくか?教員にはその力量が求められているのです。