【ブログ】教育新聞連載 第16回 「誰もが行きたくなる学校を作るために」 執筆:栗原慎二

誰もが行きたくなる学校を作るために

執筆:栗原慎二(広島大学)

 

MLAの実践は、不登校の劇的減少,中学生の検挙補導数の劇的減少,学力の上昇,学校生活満足感の上昇という成果を上げ続けている。

なぜそれが可能になったのか。

 

第一に,「MLAが包括的で統合的なアプローチ」だからだ。

世の中には効果的なプログラムは数多くある。

だが特定のプログラムが子どもの成長を保障するわけではない。

健康の保持と成長には糖質もタンパク質も脂質も,ビタミンもミネラルも重要である。

しかも日本人の体質に合っている必要がある。

MLAはそうしたアプローチとしてデザインされている。

 

第二に,「MLAは理論・実践・研修が三位一体」だからである。

理論はあらゆることに当てはまるから理論なのだ。

理論を軽視する実践は淘汰される。

同時に実践を軽視する理論は砂上の楼閣だ。

教育は実践だからだ。

その理論と実践をつなぐのは研修である。

勉強しない子は学力が身に付かない。

同様に、研修しない教師や教師集団がいい実践ができるはずがない。

「少ない時間で効率的な研修を」と語ることは「勉強しないでいい成績を」と述べるに等しい愚かな考えだ。

学び続ける教師だけが成長しよい実践ができる。

それを質と量の両面から支えるのが大学教員であり教育委員会であり管理職である。

 

次に実践で重要なのは,第一に,「理念とゴールの共有」である。

MLAのゴールは「一人一人の子どもが力をつけ幸せになる」ことである。

それが保護者の喜びに,教師のやりがいと喜びになる。

ゴールが異なっていれば同じ地点に到達できない。

それは,「違いを乗り越えること」でもある。

今回の連載執筆者の15人の専門性は全員異なる。

その15人が違いをぶつけ合いながら相互理解を深め接点を見いだす。

それがチームである。

大学教員,教育委員会,管理職,教師には取組に対する思いや考えに違いが当然ある。

しかし相互理解を深めチームにならなければ,取組の成功はない。

これが第二の重要な点である。

 

第三に,「取組の違いを尊重すること」である。

学校が違えば子どもの実態も,各学校の歴史や文化も,教師一人一人の個性も経験もすべて違う。

一律の実践が生まれるわけがない。

ベクトルさえそろっていればよい。

むしろ違いから学び合うということである。

 

 

公益社団法人学校教育開発研究所のHPでは有料であるが安価でMLAの取組のすべてが公開されている。

また,教員免許更新講習や研修会も提供している。

ご活用いただきたい。

 

この連載が「誰もが行きたくなる学校づくり」の一助となれば望外の喜びである。

 


ほんの森出版より マルチレベルアプローチ だれもが行きたくなる学校づくり 日本版包括的生徒指導の理論と実践  が出版されています。

 

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