【ブログ】教育新聞連載 第6回 「教科指導とMLA:自己表現の持つ意味」 執筆:中井悠加

教科指導とMLA:自己表現の持つ意味

  執筆:中井悠加(島根県立大学短期大学部講師)

 

子どもが学校で過ごす時間の大半は各教科等の授業である。

その時間が自分に自信や自己肯定感を持たせてくれる時間となり,仲間と学び合うことの良さを実感できる時間となれば,子どもは「学校に行きたい」という思いを強くするだろう。

このように授業の中での生徒指導が十分に行き届くことで学習への意欲が向上するのと同様に,教科における学びが充実することは子どもの学校生活に対する満足感の高まりに寄与するという教科指導・生徒指導の有機的な相互関係をまずおさえておきたい。

 

授業では,全ての子どもが目標とされる学力を身に付けることがめざされるが,教室の中には様々な要因からその学習指導についていけず、こぼれ落ちてしまう子どもが多く存在する。

その多層性を認め,彼らのつまずきと状態を適切に見取り理解することで,教師からの支援や仲間からの支援といった,多層的なサポートを講じることが可能となる。

その中で,子ども自身が,自分にとって効果的な学習方法は何か,いつ誰にどのような助けを求めれば良いかといったことを選択できるようになることは,教科における学習のみならず,その他の場面や生涯にわたって学んでいく基盤を培うことを意味する。

 

そしてここでは,教科固有の学習内容そのものが子どもの全人的成長を促す役割を果たすということにも着目する。

 

 

例えば国語科における「書くこと」の学習指導では,言葉による思考力や想像力,認識力といった言葉の力の育成が目指される。

それと同時に,思いや考えを表す言葉やその表し方に関する知識を増やすことそのものが,子どもの感情を醸成することにつながる。

学校生活や人間関係に難しさを感じる子どもの多くは,自分の感情が分からなかったりそれをうまく伝えられなかったり,感情の調整に課題を抱えていることが多い。

それは,自分の中で生じた感情を適切に言い表す言葉を持っていないことに起因する。

しかしその時味わった気持ちを限りなく適切に表現できるように言葉を尽くす自己表現活動は,感情の複雑さを認識することにつながり,それはその子どもにとっての新しい感情の芽生えを意味する。

自分の感情に言葉を付すことが出来れば,相手の感情への共感力も高まり,互いに共感し合うことによって一緒に自己肯定感を高め合うことにもなる。

そのような共感的人間関係の中で自分の表現に肯定的な反応を受け取ったという経験の積み重ねは,何よりの全人的成長の向上に貢献するものである。

 


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