ハワイの就学前教育と初等教育との継続性
執筆:早稲田大学 岩谷由起
今回の視察では、Hanahou‘oli SchoolとMid-Pacific Elementary Schoolの2校を滞在中に訪問することができました。
この2校に共通して、日本でいう年長児が「Kindergarten」という名称で、年中児が「Pre-School」という名称で各校には設置され、小学校と同じ敷地内で、同じ教育理念のもと子どもたちが教育活動に参加していました。
この制度は日本では一部の私立学校を除くと一般的ではありません。
現在は「就学前教育」として幼児教育は国や各自治体での重要課題の1つとなっていますが、実際のところは就学前教育が小学校へどのように移行されていくのかという繋ぎについては不明瞭な部分が多く、受け入れる小学校側もあまり意識されていない現状があるように思います。
私がハワイの現地校での教育活動を見て特徴的で驚いたのが、幼児期から学童期の子どもたちの異年齢交流が盛んであることと、幼児期の表現教育を大切にしたカリキュラムが組まれていることでした。
現代の日本の学校では、「小学校に入って作文を書く書字能力は身についていても、自分が書きたい内容を見つけられない子どもがいる。」という話を現場の先生からよく聞くことがあります。
海外では、人種、年齢、文化など多様性の中で自分の個性を表現できる環境が整備されていると感じました。
また、その表現の仕方も文章で表現する子ども、絵や作品で表現する子ども、踊りや歌などの文化を通して表現する子どもたちがいました。
そんな子どもたちが小学校に入り、自ら学ぶ姿勢が身についているのは、幼児期の「自分の個性を安心して表現できる」という環境と学びが小学校に受け継がれることで、上級生への憧れとともに子どもの自主的な学びに繋がっているからではないかと感じました。