【ブログ】教育新聞連載 第4回 「MLAにおけるピア・サポート」 執筆:中林浩子

 MLAにおけるピア・サポート 執筆:中林浩子(新潟市立白南中学校校長)   「ピア」とは仲間。ピア・サポート(以下,PS)とは、仲間同士で互いに支え合う活動のことである。 ただ活動するのではない。学校や友だち … “【ブログ】教育新聞連載 第4回 「MLAにおけるピア・サポート」 執筆:中林浩子” の続きを読む

 MLAにおけるピア・サポート

執筆:中林浩子(新潟市立白南中学校校長)

 

「ピア」とは仲間。ピア・サポート(以下,PS)とは、仲間同士で互いに支え合う活動のことである。

ただ活動するのではない。学校や友だちのニーズを探り、そのニーズに基づいてプログラムを作成し、そのために訓練し、活動する一連のプログラムである。

実際に仲間を思いやり支える活動を通して、学校全体の支持的風土を醸成していく取組である。

 

これを社会的欲求理論(M.トンプソン,2003)では,社会的欲求には、「交流欲求」「承認欲求」「影響力欲求」がある。

PSプログラムには、サポートする側のサポーターと受ける側の被サポーターが存在する。

サポーターは、サポート活動やそこで感謝される体験を通して「自分も人の役に立てる」喜びや「他者から必要とされる」自己有用感が強化され、上位欲求である「影響力欲求」が充足される。

その感覚の積み重ねが、社会に貢献したいという思いを育む。一方、被サポーターはサポートされる経験を通して情緒的な交流欲求が満たされる。

更に、「できたね」「やったね」などとサポーターから認められることで承認欲求も満たされる。自分でできることが増えれば、影響力欲求も満たされる。

つまり、PSは、困難な養育環境や発達障害等によって愛着に課題を抱えた子どもや対人関係スキルが不十分な子どもが、サポートされる体験を通して、他者から支えられる安心感や人とかかわることの心地よさを実感するなど、他者信頼を体得していく営みとも言える。

 

 

このようにPSは、さまざまな問題を抱える子どもたちが自分たちの問題を解決していくことを支援するととともに、豊かな情緒交流によって健康で安定的なパーソナリティの形成に寄与する。

そして、この誰かに支えてもらった経験が、「あの人のようになりたい」「してもらったことを誰かに返したい」といった他者貢献の意識や意欲を喚起させる。

PSとは、広義にとらえると平和で民主的なコミュニティを共に形成しようとする関係性であり、精神であり、生き方とも言える。

また、実際の活動としてのPSは、健康なパーソナリティ形成に必要不可欠な「情緒交流」を提供するとともに、「社会的能力」を育むことになる。

その意味で、PSは、MLAの神髄とも言える。

 

MLAは「今、平和で民主的な学級を形成できる子ども」を育てることを目指す。

そして人と人とのつながりを感じ、思いやりのある子どもが増えれば、それは学校にとどまらず,地域、社会、日本へと広がっていくはずである。

 


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≪AISESは、フィリピンのストリートチルドレンをはじめ、困難な背景を抱えた子どもたちへの支援活動を行っています≫

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