【ブログ】教育新聞連載 第3回 「望ましい行動を促すPBIS」 執筆:神山貴弥

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望ましい行動を促すPBIS

執筆:神山貴弥(同志社大学心理学部教授)

 

PBISとは、Positive Behavioral Interventions and Supportsの略称で、アメリカを中心に進められている「ポジティブな行動への介入と支援」を基盤とする包括的生徒指導アプローチでMLAの基本プログラムの一つである。

特別支援を要する子どもを対象とした個別支援から始まった取組であるが、問題行動に対する予防的・開発的な観点から、現在ではすべての子どもを対象とした学校全体(School-Wide)での取組としても広がっており、SWPBISという呼び方でも広く知られている。

 

PBISは行動分析学を理論的な背景としており、行動は後天的に獲得したり変化させたりすることができる(学習できる)という考えが基盤になっている。

したがって、PBISでは子どもたちに対して積極的な働きかけ(介入や支援)を行ったり、環境を整備したりすることを通して、適応的行動の増加や問題行動の減少を図っている。

PBISはパッケージ化やマニュアル化されたプログラムではなく、三層から成るシステムである。

第一層は、すべての児童生徒を対象に全教職員がかかわる学校全体での取組で、学校の各場面における「望ましい行動」を促す活動を展開する。

具体的には、集団生活の中で身につけさせたい価値(例えば「安全」「思いやり」「責任」)を掲げた上で、何が望ましい行動なのかを全校集会などでモデルを示しながら教えたり、教職員あるいは児童生徒同士で、誰かの望ましい行動を見かけたらカード(誰がどこで、どんな観点での望ましい行動をおこなったが簡単に記入できるもの)を渡すことでその行動を強化したりしている。

 

 

第二層は、問題行動のリスクを抱える児童生徒を対象とするシステムで、チェックリストやグループアプローチなどを活用した介入を行う。

例えば「チェックイン・チェックアウト」と呼ばれるシステムでは、チェック項目に示された行動(前述の価値に基づく行動がリスト化されている)が時間毎にその時間にかかわった教職員によってチェックされ、本人にフィードバックされる。

このようなシステムにより、多くの大人から個別に気にかけてもらい、ほめられるという体験をすることでリスクの回避をはかっていく。

そして第三層は、ハイリスクな問題を抱える児童生徒を対象とするシステムである。

多角的なアセスメントを行い、問題行動の引き金となる事象や背景、問題行動が起こった後の結果を分析し、個別の行動介入プランを立て介入や支援を行う。

ご関心の向きは以下の文献などを参照いただきたい。

『PBIS実践マニュアル&実践集』(ほんの森出版)

 


ほんの森出版より マルチレベルアプローチ だれもが行きたくなる学校づくり 日本版包括的生徒指導の理論と実践  が出版されています。

 

≪AISESは、フィリピンのストリートチルドレンをはじめ、困難な背景を抱えた子どもたちへの支援活動を行っています≫

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