愛着とレジリエンス形成プログラム
今回提供しているプログラムは,約15~20分のアクティビティで,合計34回で実施することになっています。
今回の訪問では,ソーシャルワーカー(SW)の方が実際にアクティビティを行っているところを観察できました。
写真はプログラムの最初に行うサークルタイムと呼ばれる活動の様子で,全員が輪になって今日の気持ちや思っていることを語り,また聴き合う情緒交流の時間です。
この後に,この日は「友だちの仕草や表情から相手の気持ちを知る」という活動を行っていました。
下の写真がその様子です。
活動後に,SWが相手の感情を理解する意義を質問したところ,「友だちに優しくできる」「自分がどうすればいいか考えることができる」と言った発言が相次いでいました。
そのレベルの高い内容にも驚きましたが,それ以上に驚いたのは,「友だちがしゃべっている時には,しゃべらずに話を聞く」というルールが子どもたちの中で浸透しつつあったことでした。
半年前は秩序があまり感じられなかったのですがそのときとは明らかに違う様子にプログラムの手応えを感じました。
アクティビティの後にSWの方々から話を伺ったのですが,「子どもたちの自尊感情に改善が見られている」「人の話を聞けるようになった」「目を見て話ができるようになってきた」「以前は訪問者がいても関わることができなかったのに,今は自分から挨拶ができるようになってきている」などのうれしい話を聞くことができました。
今回,いろいろな質問を受けたのですが,その質問の内容からは,SWだけではなく,食事や生活全般の世話をしているハウスペアレントの方や守衛さんの方々も手応えを感じいていること,そしてさらに改善をしていきたいという意欲を感じ取ることができ,本当にやってよかったという思いになりました。
実は,先年末,任期満了に伴う施設の責任者の方の交代がありました。
そのため,私たちの提供するプログラムの意義を理解していただき以前と変わらず実施できるか少し心配だったのですが,新しい責任者の方も,「この施設にいる子どもたちの問題の根っこには貧困が存在していますが,貧困の問題は単にお金を与えれば解決する問題ではないと思います。
貧困家庭にお金を与えても,親がドラッグやお酒にお金を費やし,子どもの食糧や教育費になるわけではないからです。
こうした子どもに必要なのは“教育”であると思います」ということを話しておられ,今まで以上によい関係を築けたように感じています。
今回の訪問ではいろいろなことを感じました。
一言では言い尽くせませんが,あえていくつかに絞れば,貧困問題の想像以上の深刻さ,その一方での教育の可能性,保護者支援と保護者教育の重要性,連携の重要性ということがあげられると思います。
今後も,私たちにできる「教育を通じて子どもたちに明るい未来を」届ける仕事を続けていきたいと思っています。
≪AISESは、フィリピンのストリートチルドレンをはじめ、困難な背景を抱えた子どもたちへの支援活動を行っています≫
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