監修:栗原 慎二
前回までは、学校現場で実際に当事者が抱える問題について紹介してきました。
今回からは、学校現場で私たちが行える支援や介入の方法について考えていきたいと思います。
現在、学校現場で支援ニーズが上がっているのが発達障害の問題であると思います。
発達障害の問題を抱える当事者は、その特性から学校現場で「難しい子」とみられがちであり、今でこそ理解が深まり、問題児という扱いを受けることは少なくなっていますが、その特性を周囲が理解できていなければ、しっかりとした支援は行えません。
同様に、LGBT当事者も、周囲に見えにくい、理解されにくいという問題を抱えています。
重要なのは、教員や子ども達に多様な性についての理解を深め、その子自身の良さや個性を認めあえるようになることではないかと思います。
学校現場でLGBT当事者が自分らしく生きていくために、まずは教員や周囲の大人がLGBTに対し理解していく必要があるでしょう。
現在、教員に向けたLGBTに関する研修を行う学校が増えています。
多様な性を知ることで、男・女で性別を考えるのが当たり前ではなく、それによって悩みを抱えている子どもがいるということを少しでも知ってもらうことにより、学校で支援していく必要性を多くの人に感じてもらうことが、第一歩ではないかと思います。
研修等によって多様な性を学んだ教員が行えることとして、自分のクラスや学校で、LGBTや多様な性についての知識や情報を、授業や日々の生活を通して子ども達に伝えていく、ということがあげられます。
では、様々な状況にある学校現場で、どのようにして子どもたちに教えていくのが良いでしょうか?
教員がLGBTや多様な性について学んだうえでも、子ども達に教えていくことを考えた時に、「下手に情報を与えてからかいの対象になったらどうしよう」「当事者でない自分は間違った伝え方をしてしまうかもしれない」という不安があると思います。
特に「性」に関する知識や情報というのは、LGBTに関係なく現在の学校現場で取り上げにくいものでもあります。
発達障害やそれ以外のマイノリティを授業として扱う際と同じで、このやり方が正しいという教え方は存在せず、学校現場それぞれの、子どもの状況や支援の体制を考えて行っていくものだと言えます。
また、授業で扱わなくても、先生の日々の発言の中で、「男の子だから女の子が好きになるのは当たり前」とか、「男らしく、女らしく」といった発言がなくなり、自分らしくいていい、人を好きになるのに性別は関係ないといった気持ちで子どもたちと接するだけでも、当事者の子どもにとってありがたいことだと思います。
些細なことからでも、性別はたくさんあっていいという考えをたくさんの先生が広めてくださればということです。
参考文献:『LGBTって何だろう?からだの性・こころの性・好きになる性』2014初版 薬師実芳(特定非営利法人ReBit代表理事)・笹原千奈未・古堂達也・小川奈津己(Rebit所属)著 合同出版