皆様こんにちは。
学校教育開発研究所(AISES)の金山健一です。
この度はAISESの活動に興味・関心をもっていただき、
また、温かいご支援を多数いただき本当に感謝しています。
前回は代表理事の栗原から、このような虐待や貧困の支援に取り組むきっかけや、今の思いを述べさせていただきました。
今回は私金山が、自分自身の経験を振り返りながら、
少し皆さんへお話させていただければと思います。
私は以前、中学校の教師でした。
中学3年生を担任した時のことです。クラスにA子という女の子がいました。
A子の家庭は生活保護を受けていました。
生活保護世帯では就学援助制度で、修学旅行の実費は全額支給です。
中学3年生になり、A子は高校進学を諦めていたため、
修学旅行は本当に楽しみにしていました。
「先生、私、旅行って行ったことが一度もないんです。
修学旅行、すごく楽しみなんです」と・・・。
そこにはA子の笑顔がありました。
A子はグループごとに、興味のある場所を見学する自主研修の副リーダーでした。
ところが修学旅行当日、A子の姿はありませんでした。
母親に借金があり、A子の修学旅行のためのわずかなお小遣い、
そして、グループ学習で使う自主研修の交通費(支給対象外)も、借金取りに取られたとのことでした。
修学旅行に行かなかったのは、学年でA子だけでした。
修学旅行中、学級全体でA子にお菓子のお土産を買いました。
私もA子にお守りのお土産を買いました。
旅行後、学校では、修学旅行の思い出話で持ちきりです。
学校のホールには、修学旅行のたくさんの写真が掲示されていました。
A子は、その後だんだんとクラスの輪に入りにくくなりました。
貧困がA子のささやかな夢を潰してしまったのです。
A子との教育相談の中で、何度もA子の涙を見てきました。
A子の制服は、PTA役員の卒業したお子さんのものです。
ジャージ・ブラウスもそうです。
音楽で使うリコーダーも私の教え子からもらいました。
お金がなくて買えないのです。
別の日には、こんなことがありました。
A子には小学生の妹がいます。
A子も妹も、栄養不足のためか背が低く痩せています。
ある日の朝、私が通勤していると、早朝からコンビニの前でA子と妹が腰を屈めて何かをしていました。
私は車を止めて様子を見ていました。
A子が、コンビニの弁当の中身を、赤い弁当箱に移し替えているのです。
その日は妹の遠足の日。
コンビニ弁当をそのまま持っていくのが不憫に思ったA子が、妹の赤い弁当箱に詰め替えていたのです。
私は涙が止まりませんでした。
あの小さな体で、更に小さな妹を守ろうとしていたのです。
数年後、A子の学級のクラス会がありました。A子は欠席でした。
A子の母親は病気で働けなくなり、A子は風俗で働いていると聞きました。
現在、A子はどうしているのかわかりません。
ただ、貧困がA子をそうさせたのは事実です。
どんな子どもたちも、幸せになる権利はあります。
私は今、自分の命の使い方を考えています。
子どもたちを応援したいと心に誓っています。
どうか、ご協力をよろしくお願いします。
情報をシェアしていただくだけでもかまいません。
私たちと一緒に、子どもたちを支えていきましょう。