10月27日,文部科学省が,昨年度,全国の小中高校でのいじめ認知件数が18万8千件余りに上った,2014年度問題行動調査を公表しました。この数字は実は過去2番目に多く,危機的な状況です。
今回の報告から2つの問題点を取り上げてみましょう。
まず,今回,生徒の自殺事件を受けて調査をやり直したところ,集計数が約3万件も増えたことです。軽微なケースも計上したためと言うことですが,いじめの定義がしっかりと把握されているのでしょうか。いじめの判断については,少なからず現場に迷いも存在しますが,からかいなど軽い行為が深刻化し,悲劇につながる恐れもあります。小さなSOSを感知する鋭い眼を常に更新しておく「しかけ」が必要だと思います。
2つ目は,いじめの発生率の地域差です。都道府県によっては,千人当たりの件数に30倍もの格差が見られました。これを見ると,発表された数値が実数を反映しているとは思えません。「臭いものには蓋」といった心理がどこかに働いている気がします。調査の仕方を含めて考え直す必要がありそうです。
最後に国の役割についてです。文科省は早期の発見・解決のためスクールカウンセラーの配置拡充などを計画し,予算計上するそうです。しかし,上記調査によれば「状況を聞く」「ケアを行う」のは教職員がほとんどで「カウンセラーら相談員による対応はごくわずか」でした。その教職員が多忙で対応ができないのだとすれば,相談員の配置拡充で問題は解決に向かうのでしょうか。
最近ではLINEなどによる見えにくい嫌がらせも増えています。いじめの芽を見つけて摘みとる,あるいはいじめなど寄せ付けない子どもを育てる,そういう現場力の強化が重要だと考えます。