監修:栗原 慎二

 読者の皆さんにとって、恋愛とはどういうものですか?

恋愛に関する出来事は私たちの日常で最も身近に感じられるものの一つではないかと思います。

もちろん、性は多様ですから、恋愛対象がいないという方もいますが、私たちが生きる社会では恋愛に関するものがあふれているため、恋愛にふれる、考える機会はたくさんあるでしょう。

そういう意味で、恋愛というのは日本に生きる誰にとっても身近なテーマなのではないかと思います。

この恋愛を通して、自分自身を探索したり、成長したりする時期こそが、思春期ですよね。

小学校高学年から高校生ぐらいがだいたい思春期に当たりますが、実は、思春期はLGBT当事者にとって最も過酷な時期でもあります。

今回は、そんな恋愛や思春期の問題に関するお話をしたいと思います。

 

 思春期になると、第二次性徴というものが始まります。

そうすると、生殖器など体が大人になっていくとともに、心も大人へと近づいていきます。

その中で、特定の人物を意識したり、性的な感情が芽生えたりしますよね。

そうすると、クラスの女子で誰がかわいいかなどの話が男子グループの中で起こったり、誰かと誰かが付き合って・・・という話がクラスや学校の話題になったりします。

また、テレビに出ているアイドルや、時には、グラビアなど少々アダルトなものに興味を持ち、誰が好きかなどの話で盛り上がることもよくあるのではないでしょうか。

LGBT当事者がこの話題を一緒に楽しめるでしょうか。

以前お話ししましたが、現在でも多くの人が、同性愛に対する否定的な印象、ホモフォビアを抱えています。

そのため、クラスや学校で、自分がLGBT当事者であることが周りにばれてしまえば、いじめの対象になりかねないと思う当事者が多くいます。

ゆえに、恋愛に興味がないふりをしたり、好きでもないアイドルを好きだと偽ったりすることで、この話題を乗り切ることが多いのです。

こういった日常の話題だけでなく、当事者に実際好きな人ができた場合も、大きな問題が存在します。

好きになった人が同性の場合、誰に相談することができるでしょうか。

周りに理解者がいる場合は別ですが、そうではない場合は誰にも相談できません。

もちろん、本人に言える場合も少ないでしょうし、告白したことにより、いじめを受ける場合もあります。

 

 さらに大きな問題として、学校が同性愛について何も教えていないという現状があります。

現在では複数の学校で多様な性の授業が行われていますが、それでも多様な性についてすべての子どもに知る機会があるわけではないというのが現状です。

現在使われているかはわかりませんが、以前、道徳の教科書替わりとして使われていた教材には、「異性を好きになることは自然なことです。」と書かれたページがあり、思春期になると異性に興味を持つのは当たり前のことだという内容の単元が存在していました。

このように学校では、異性を好きになることについて学ぶ機会が存在しています。

これは、異性に興味を持ち始めた多くのストレートの子ども達にとって、とてもありがたいことだと思います。

同じように、同性を好きになることも当たり前に存在する、ということを学校で学ぶことができれば、多くの同性愛、両性愛の子ども達を安心させることができるのではないかと思います。

 

参考文献:『LGBTって何だろう?からだの性・こころの性・好きになる性』2014初版 薬師実芳(特定非営利法人ReBit代表理事)・笹原千奈未・古堂達也・小川奈津己(Rebit所属)著 合同出版

『AISES 学校教育開発研究所』は子どもと学校の支援、教育に携わる人材育成を行う ことを目的とした団体です。eラーニングや直接研修などを通して、発達障害支援を含む学校教育現場の様々な課題に対応する理論・実践例・教材・教具等を提供します。活動の参加や詳細は、HP http://aises.info/ または☎ 082-211-1030 まで。