「教育を通じて子どもたちに明るい未来を」

-AISESのこのスローガンは日本の子どもだけではなく、世界の子どもたちにも当てはまるものとしてとらえ、いつか、世界の子どもたちの明るい未来づくりに貢献していきたいと考えていました。

今回、その具体化が可能かどうかを探ることを目的に、6月22日〜29日の8日間の日程で、フィリピンのマニラ近郊に第2回目の視察調査に行ってきました。

訪問者は代表理事の栗原慎二、研究協力者の山田洋平先生(島根県立大学准教授)を中心に、教師を目指す2名の大学院生を同行させました。

詳細はまたお話しすることもあるかと思いますが、今回は、同行した二人の大学院生の感想を掲載します。

―その1―

―その2―

前回の視察報告

 

 

フィリピンの視察を終えて

 

執筆:広島大学 教育学研究科 博士課程前期 1年 永田拓也

 

今回は、AISESの協力を得てフィリピンに訪問できたこと、AISESとフィリピンの施設と連携をし、教育プログラムを実施することができるようになったことに大変感謝します。

本当にありがとうございました。今回の視察を通して感じたことを書いていきたいと思います。

 

 

ミニワークショップを実践してみて

 

僕は、フィリピンのある施設で子どもたちを対象に、感情理解に関するミニワークショップを行わせていただきました。

この施設は、ドイツの教会の協力を得て、こどもたちを保護し生活支援を行っている施設です。

子どもたちには、貧困の問題から、学校へ通うことができなかったり、親の虐待やネグレクトなどによって安定した生活を送ることのできなかったりするという背景があります。

授業の最初は見ず知らずの日本人に警戒していたものの、だんだんと笑顔をみせるようになったり、表情豊かにワークに取り組んだりしていました。

その表情は、国も背景も違うけれど、自分がいままで日本で接してきた子どもたちと同じような表情をしていました。

何かに夢中になっている目、純粋に目の前のことに取り組んでいる表情、友達とああでもないこうでもないと話しながらワークを行っている姿は今でも忘れられません。

正直、授業を行うまえには、さまざまな背景があるため、これまで関わってきた子どもたちとは異なる反応が来るのだろうと考えていました。

しかし、それは思い込みであったと今では思います。

子どもたちは、さまざまな背景がありつつも、強くたくましく生きているということを実感しました。

 

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ストリートチルドレンの抱える課題の大きさ

 

しかし、強くたくましく生きるといっても、この施設にいる子ども全員が大人になって職についてなどと社会で適応的に生きていくことができるとは限りません。

この施設では12歳で両親のもとへ帰すのが基本のようですが、12歳で戻ってもまた元の生活に戻ってしまう子どももいるようです。

そのため、12歳から18歳の子どもたちが次に入れるsecondaryの施設もあるようでした。

実際に、このsecondaryの施設を訪れた際に、現在18歳で、OJTに参加し、職業訓練をうけている子どもの話を聞くことができました。

彼は、「神様とこの施設のおかげでここまでこれた」と話していました。

 

 

レジリエンスを育てるために

 

しかし、さまざまな背景がありつつも、困難を乗り越えここまで来れる子どもはまだ多くはいないように思います。

それほど、貧困な問題や虐待やネグレクトの問題はこどもにとって大きな影響を与えることがわかったと同時に、施設の方々の取り組みによってそれほどの困難な背景がありつつも生きていくことができるということがわかりました。

 

僕自身は、現在レジリエンスについての研究をしており、今回この施設での教育プロフグラムに携わることができることになりました(注:今回のデモンストレーションに先方の施設長が参加され手ごたえを感じ、今後、役年間にわたって教育的支援をて帰京することになった)。

多くの子どもたちがよりよい生活を送ることができるような、教育的介入によって、子どもたちがよりよい変化を起こすことができるようにこれから勉強していきたいと思っています。

 

 

フィリピンから日本を考える

 

1週間という期間を海外で過ごすことは、僕の人生では初めてのことで日本との違いについて知ることができたとともに、日本についてより考えるようになったと思います。

フィリピンでは、貧困の問題はとても大きな問題となっており、橋の下にはストリートチルドレンやストリートファミリーがいます。

他にも例えば、フィリピンの人々は、「今を生きる人」といわれることもあるように、給料をもらったらとにかく使ってしまい、次の給料日まで何日もあるのにお金がないという状況がよくあるようです。

また、タイムマネジメントが苦手で、1時間遅刻というのはよくあることで、予定が決まっていたとしても、あとからの予定を優先する、などと多くのことが違うということを感じました。

また、音楽と生活が密接であり、どこのごはん屋さんに行っても音楽が流れており、ボーカルの歌声がとてもきれいということも多くありました。

 

 

フィリピンで教育的支援にかかわる人たち

 

今回訪問した施設、学校には、さまざまな政治的な背景、文化的な背景はありつつも、子どもたちのために、自分の資金をはたいて教育活動を開始しようとしている人々、人数が少ないなかでよりよい教育を行うために頑張る人々に出会いました。

写真に写っているR氏はその一人です。

20代を中心とした若年層の失業率が50%を超える中で、特別支援ニーズを持つ若者の就職は極めて厳しいとのことでしたが、Rさんはこうした問題に対して私財を投げうって教育的支援を行い、働ける場を用意するために、若者のための教育と並行して、彼らが働ける農場建設の夢を熱く語ってくださいました。

 

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教育に携わるということについて-フィリピンで学んだこと

 

こうした、文化の違いは認知や行動の違いを生んでいました。

こうした、違いを実感することで、日本の強さ、弱さについても考えられるようになったと思います。

日本には、とても幸せな国であるということも強く実感しました。

だからこそ、日本で働こうとしている自分は、さまざまな経験をし、世界に貢献できる子どもたちを育成していくことが重要であると思いました。

教育を受けることもできる子どもが圧倒的に多い日本で、子どもに携わる自分は、責任のある立場にいこうとしているのだと思いました。

こうした人々の情熱や心、忍耐力を考えると、教育という子どもの成長を促すことに携わることはとても責任の思い仕事だと改めて実感しました。

これらのように、今回のフィリピンで感じたこと、経験したことは自分の変化を生み出してくれたと思います。

今回の旅行の中で、ストリートチルドレンのためのプログラムを作っていくことになりました。

栗原慎二先生、AISESの研究協力員の山田洋平先生、研究員の山崎茜先生たちと協力しながら、責任をもってフィリピンの子どもたちのためになるようなプログラムが開発できるように精進していきたいと思います。