執筆:栗原 慎二

 被害者はどのような特徴を持つのでしょうか。

 この点については、高いストレス状態であり(岡安・高山、2000)、抑うつ・不安傾向が高いことが指摘されています。また友人からの認められたいという承認欲求が高いことも指摘されています(石田ら、2002)。こうした被害者の特徴は,いじめられていたとしても集団から離れることへの不安が大きく、集団から離れることが難しいということにつながっているのかもしれません。特に女子は集団の親密度が高いために,今所属しているグループでうまく行かなくなっても,他のグループに簡単に移動することは出来ません。そうなると,いじめ被害に遭っていながらも,なんとかそのグループの中に留まろうとする心性が働きますから,いじめが見えにくい形で継続することも起こりえます。

 

以上のことは,いじめは集団の力学の結果として生じることが大いにありうることや,とりわけ思春期に生じやすいであろうことが容易に想像できます。ですので,特に小学校の高学年ぐらいから中学校にかけては,子ども集団の状態をていねいに観察する事が重要になってきます。また,これと少々関連しますが,被害者にはいじめを誘発しやすい要因―たとえば身体的な特徴や転校等に伴う言葉の違い,特有の反応など―はあるのですが,それがいじめを引き起こす決定的要因ではないということです。それは、誰もがいじめの対象になるということを意味していますし、そのことを子どもたちは肌で感じているからこそ、いじめられることを回避するために気を使って生活しているわけです。

そこには、信頼関係でつながった子どもの姿ではなく、疑心暗鬼な人間関係が見え隠れします。こうした状態を打破すること、信頼関係で結ばれた子供集団を育てることが重要だといってよいでしょう。

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