私たちが関わり続けているのが総社市です。総社市は,6年前にマルチレベルアプローチに取り組み始め,今日までその実践を継続しています。

 その結果,警察による中学生の検挙・補導数は、取組前の205件(2009年,H21)から7件にまで減少しました(2015年,H27)。私もびっくりです。去年の13件に比べても半減に近い数字です。また中学校の不登校は、ここ2年ほど、1.95%、1.97%と横ばいでしたが、1.66%(2016年度,H27,速報値)とさらに減少しました。小学校でも0.28%でした。これは全国平均より中学校で約4割、小学校で約3割少ない数字です。

 この数値を少していねいにみると,不登校にどのような施策が重要なのかがわかります。

 まず小6ですが,昨年度の不登校は0人でした。教育委員会や学校の先生に伺うと,「従来の取組に加えて登校支援員の働きも加わったことがあるかもしれない」とのことでした。ただ,この施策は岡山県の施策であり全県的に効果が出ているわけではない中で,総社市で効果が出ているのは,総社市ではMLAを実践しているため,学級が受容的であり,子どもも学級に入りたいと思っているという大前提があるからだと思うとのことでした。つまり,そこに「宿題が終わらなくて入りにくい」「ちょっとトラブルがあって入りにくい」という子どもに寄り添いながら教室に入れるように支援することで,MLAとの相乗効果が現れているのではないかという解釈でした。

 また,中1での不登校増加がなかったことも特筆できると思います。これは,小中連携で学区内での様々なギャップを解消する動き,たとえば掲示物やルールの共通化とスタンダード化を進めたり,小小連携で,中学校で一緒になる予定の小6の子供たちを集めて合同授業を行って関係性を築いたり,先生方が出前授業等を繰り返して子ども理解を深めたり,子どもも中学校理解を深めたり,ピア・サポートで先輩後輩の関係性が自然なものとなってきていたり,といった多様な取組が成果を上げていると思われます。決定打となるような一つの取組ではなく,効果があると思われることを少しずつ確実にやり続けたことの相乗効果がここに来てジワジワと現れているとも考えられます。

 中3も効果がありました。市全体で18名だった中2時の不登校は11名になりました。約4割の中学生が学級に戻ったと言うことです。これまでも1~2名,不登校が減少した年もありましたが増える年もあった中で,40%も再登校したのは,実は6年間で初めてです。ここに効いていたのは,先生方の家庭訪問であり,子供たちのピア・サポートだったようです。

 残念ながら中2の不登校は増えましたが,それでも全国平均を大きく下回っています。先生方もがんばっておられます。来年度はその原因を明らかにし,対策を考える必要があると考えています。

 こうやって学年毎にみてみると,小6の不登校0名,中1ギャップでの不登校0名,中3での不登校克服率40%は,驚くような数字であると言って良いと思います。これは6年間の取組の成果と考えています。

 「教育を通じて子供たちに明るい未来を」がAISESのモットーですが,それを完全ではないにしろ実現しつつあることをうれしく思いますし,AISESの活動を通じて,こうした学校教育の創造を今後も支援していきたいと考えています。